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連載 バイオミメティクス(生体模倣技術)の医療への応用・vol.18(最終回)
生物に学ぶ水中防汚技術
Antifouling technology inspired by living organisms
小林 元康
1
Motoyasu KOBAYASHI
1
1工学院大学先進工学部応用化学科
キーワード:
高分子電解質
,
ポリマーブラシ
,
親水性
,
防汚性
,
生物汚損
Keyword:
高分子電解質
,
ポリマーブラシ
,
親水性
,
防汚性
,
生物汚損
pp.1078-1084
発行日 2021年3月13日
Published Date 2021/3/13
DOI https://doi.org/10.32118/ayu276111078
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カタツムリの殻は無機物とタンパク質からなる親水性の複合材料で構成されており,雨水などで汚れを落とす機能を持っている.魚の体表は常に糖タンパクからなる粘膜で覆われ,超親水性であるだけでなくフジツボなどの海洋生物の付着も防いでいる.こうした防汚性は,材料表面に高分子電解質を高密度にグラフトしポリマーブラシ構造を付与することでも再現できる.とくに,双性イオン型の高分子電解質ブラシは水中にて気泡や油滴を寄せ付けない.これは高分子電解質ブラシの表面自由エネルギーが水と同様に高く,気泡や油滴との接触による界面自由エネルギーの増加を最小にするためである.また,フジツボの幼生であるキプリスも高分子電解質ブラシ表面には付着しにくいことから,海洋における生物汚損を抑制する新たな手法として期待されている.
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