Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
プラトンの『国家』―障害者蔑視の思想
高橋 正雄
1
1筑波大学心身障害学系
pp.187
発行日 1998年2月10日
Published Date 1998/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108602
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紀元前4世紀に発表された『国家』(藤沢令夫訳,岩波文庫)は,あるべき理想の国家像を描いた,プラトン晩年の最高傑作と言われる作品であるが,そのなかでは,障害者の生きる意味や権利を否定するような議論が展開されている.
すなわち,『国家』の第3巻では,医師や医術のあり方が論じられており,そこには,「身体の面で不健全な人々は死んで行くにまかせる」とか,「生まれついての病気持ちで不摂生な者は,本人にとっても他の人々にとっても生きるに値しない人間であり,医療の技術とはそのような人々のためにあるべきでもないし,またそのような人々には,たとえミダスよりもっと金持であったとしても,治療を施すべきではない」といった,病弱者や障害者などには医療を施す必要がないと言わんばかりの考え方が示されている.
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