特集 滲出性紅斑とその周辺
臨床例
ネコからの感染と考えられた多形滲出性紅斑様皮疹を呈したMicrosporum canis感染症
織田 好子
1
,
尾藤 利憲
,
鷲尾 健
,
国定 充
,
岡 昌宏
,
錦織 千佳子
,
田邊 洋
1神戸大学 大学院医学研究科内科系講座皮膚科学
キーワード:
PCR法
,
紅斑-多形性
,
真菌症
,
人畜共通感染症
,
RFLP
,
経口投与
,
ネコ
,
発疹
,
Terbinafine
,
Microsporum canis
Keyword:
Administration, Oral
,
Cats
,
Exanthema
,
Erythema Multiforme
,
Mycoses
,
Polymorphism, Restriction Fragment Length
,
Zoonoses
,
Polymerase Chain Reaction
,
Terbinafine
pp.123-126
発行日 2014年2月1日
Published Date 2014/2/1
DOI https://doi.org/10.24733/J01268.2014189097
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<症例のポイント>人獣共通感染症を生じるMicrosporum canis(以下、M.canis)は、多彩な臨床症状を呈し、誤診されることがしばしばある。自験例では診断確定まで1ヵ月近く要した。抗真菌薬の使用だけでなく、炎症症状が強い場合はステロイドを使用することもあり、原因菌を同定することが治療の鍵となる。通常の真菌検鏡や培養による菌の形態学的特徴だけでは同定に至らない場合があり、分子生物学的手法を用いた検査を積極的に行いたい。M.canisの感染による炎症反応の詳細な機序についてはいまだ不明で、自験例同様に抗真菌薬単独では炎症抑制が不十分で内服ステロイドが有効であった症例が報告されている。自験例も短期間で広範囲に皮疹が出現した点から、局所における感染の成立よりむしろ、免疫応答が先行したと考えられた。
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