特集 真菌症
右耳下部に生じたTrichophyton verrucosumによる体部白癬の1例
竹之下 秀雄
1
,
安澤 数史
,
望月 隆
1白河厚生総合病院 皮膚科
キーワード:
PCR法
,
真菌RNA
,
ウシ
,
人畜共通感染症
,
RFLP
,
経皮投与
,
白癬-頭部
,
Lanoconazole
,
耳介
,
真菌培養
,
Transcribed Spacer
,
Trichophyton verrucosum
Keyword:
Administration, Cutaneous
,
Cattle
,
Polymorphism, Restriction Fragment Length
,
Tinea Capitis
,
RNA, Fungal
,
Zoonoses
,
Polymerase Chain Reaction
,
Ear Auricle
,
Latoconazole
pp.664-669
発行日 2016年5月1日
Published Date 2016/5/1
DOI https://doi.org/10.18888/J01266.2016318340
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19歳男。右耳介下部の皮疹を主訴とした。4000頭のウシを飼っている牧場に勤務していた。右耳介下部に耳垂を取り囲むように約5.5×4.3cm大の鱗屑を有する辺縁隆起性で、中心治癒性に乏しい環状紅斑と、その下部に同様の母指頭大の環状紅斑を2個(2×1.3cm大、1.8×1cm大)認めた。テープKOH法で直接鏡検したところ、真菌要素(糸状菌)を認めた。テープ培養法を用いてマイコセル培地で培養した結果、白色平坦なコロニーが発育した。継代培養した巨大培養コロニーから掻き取り法を用いて観察したところ、西洋梨状の小分生子と厚膜胞子の連鎖が観察された。このコロニーはPCR産物の制限酵素分析(ITS領域のPCR-RFLP法)でTrichophyton verrucosumに合致する泳動パターンを示し、栄養要求性試験で発育が促進された。Trichophyton verrucosumによる体部白癬と診断し、ラノコナゾールクリームの外用を開始し、約2ヵ月後に治癒した。
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