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はじめに
リンパ管奇形は囊胞状に拡張したリンパ管の集簇により腫瘤を形成する疾患である(図1A)。主に胎生期のリンパ管形成異常により発生するが,成人期の発症を認めることもある。本疾患は長らくlymphangioma(リンパ管腫)と呼ばれていたが,「-oma(腫瘍)」というよりむしろ「malformation(形成異常)」であるという病態の理解によって,ISSVA(International Society for the Study of Vascular Anomalies)の分類1)において現在ではlymphatic malformation(リンパ管奇形)のなかに分類される。さらに2025年の最新の分類ではisolated lymphatic malformationと名付けられている(https://www.issva.org/UserFiles/file/ISSVAUpdatedflowdiagram_03152025_copyright_3.21.25.pdf)。この最新のISSVA分類病名に相当する日本語名はまだ定まっていないが,慣用的に「リンパ管奇形」と呼ばれている。ISSVA分類においても名称は短期間に変遷しており,今後も日本語名の変化が予想される。疾患の概念は確立しており学術的・医学的には混乱はないが,社会的には指定難病(https://www.nanbyou.or.jp/entry/4893)と小児慢性特定疾病(https://www.shouman.jp/disease/details/16_01_006/)において本疾患病名の齟齬が存在することは,普及の過渡期であることを示している。

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