特集 腸管不全症;基礎研究・臨床のトピックス
腸管運動不全症例に対する小腸移植における自己腸管温存
城崎 浩司
1
,
熊谷 知子
1
,
近藤 彩
1
,
出口 晴教
1
,
工藤 裕実
1
,
加藤 源俊
1
,
狩野 元宏
1
,
長谷川 康
2
,
山田 洋平
1
,
岡林 剛史
2
,
尾原 秀明
2
,
藤野 明浩
1
Koji Shirosaki
1
,
Tomoko Kumagai
1
,
Aya Kondo
1
,
Harunori Deguchi
1
,
Yumi Kudo
1
,
Mototoshi Kato
1
,
Motohiro Kano
1
,
Yasushi Hasegawa
2
,
Yohei Yamada
1
,
Koji Okabayashi
2
,
Hideaki Obara
2
,
Akihiro Fujino
1
1慶應義塾大学医学部小児外科
2慶應義塾大学医学部一般・消化器外科
pp.1074-1079
発行日 2024年10月25日
Published Date 2024/10/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000981
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はじめに
近年,腸管機能リハビリテーションの概念の普及に伴い,腸管不全に対して自己腸管を最大限利用するアプローチの重要性が示されてきている。この概念は,最重症例に対して適応となる小腸移植においても検討されるべきである1,2)。わが国小腸移植は,諸外国と比べ原疾患に腸管運動不全が多いのが特徴である(図1)3〜5)。その背景には疾患頻度の違いのみならず,腸管運動不全についての疾患概念の違いも影響していると推察される。腸管運動不全症例に対する小腸移植では,蠕動不良な自己腸管の温存はうっ滞性腸炎のリスクとなる一方で,拒絶による移植腸管摘出が生じた際には,腸管連続性維持のために一定の自己腸管長が必要であり,どの程度自己腸管を温存するかが問題となる。しかし症例の蓄積が十分とはいえず,まだ一定のコンセンサスは得られていない。
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