特集 小児外科疾患のQOL;最近の話題
頭頸部リンパ管奇形に対する治療戦略;タイミングとモダリティ
文野 誠久
1
,
鈴木 健斗
1
,
谷口 彰宏
1
,
井口 雅史
1
,
井上 真帆
1
,
髙山 勝平
1
,
金 聖和
1
,
打谷 円香
2
,
小野 滋
1
Shigehisa Fumino
1
,
Kento Suzuki
1
,
Akihiro Taniguchi
1
,
Masafumi Iguchi
1
,
Maho Inoue
1
,
Shohei Takayama
1
,
Kiyokazu Kim
1
,
Madoka Uchitani
2
,
Shigeru Ono
1
1京都府立医科大学小児外科
2まどか治療院
pp.487-491
発行日 2025年5月25日
Published Date 2025/5/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000001187
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はじめに
リンパ管奇形は,先天的なリンパ管系の奇形によって生じる,リンパ液が充満した大小さまざまな囊胞からなる病変である。国際血管腫血管奇形学会(ISSVA)分類では,lymphatic malformations(LM)とされ,発生部位は頸部(縦隔)が最も多く(70~80%),次に腋窩領域(20%)が続き,四肢,腹部からも生じる。また,ISSVA分類では囊胞の大きさで,大囊胞型(macrocystic LM),小囊胞型(microcystic LM),混合型(mixed cystic LM)に分けられる。日常生活に支障をきたさない程度の症例も多いが,特に出生前を含む新生児期から乳児期に発見されることが多い頸部・縦隔の重症例においては,病変が気道を圧迫して気道狭窄・閉塞をきたし,長期間の気管内挿管や気管切開を余儀なくされることがある。また,嚥下障害を合併することも少なくなく,経鼻胃管や胃瘻による栄養管理を要することもある。そして,最初の急性期を脱して安定した後も,整容面で大きな課題を抱えることになる。

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