特集 小児外科疾患のQOL;最近の話題
胃瘻を有するデュシェンヌ型筋ジストロフィー症例
光明 祐希
1
,
大片 祐一
1
,
粟野 宏之
2
,
坊 亮輔
3
,
尾藤 祐子
1
Yuki Komyo
1
,
Yuichi Okata
1
,
Hiroyuki Awano
2
,
Ryosuke Bo
3
,
Yuko Bitoh
1
1神戸大学医学部附属病院小児外科
2鳥取大学研究推進機構研究基盤センター
3神戸大学医学部附属病院小児科
pp.482-486
発行日 2025年5月25日
Published Date 2025/5/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000001186
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はじめに
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(duchenne muscular dystrophy:以下,DMD)は進行性の筋疾患で,重度の筋力低下,呼吸不全,心筋症を引き起こす。DMDの発症頻度は男児1/5,000と推定され,最も一般的なX連鎖性潜性遺伝性疾患の1つである1,2)。進行期には嚥下機能障害により栄養失調に陥ることがあり,胃瘻造設を検討する必要がある3)。胃瘻は経腸栄養を確立させ,患者のQOL向上にも寄与しうる選択肢の1つである一方で,周術期合併症として腹膜炎や呼吸不全などが指摘されている4)。DMDに関するガイドラインやシステマティックレビューは国内外から発表されているが5~8),経管栄養に関する報告は少なく,最適な胃瘻造設のタイミングは不明である。当院では小児筋疾患患者を多数診療しており,DMD患者に対する胃瘻造設の適切な時期を検討するために,胃瘻を有するDMD患者の周術期経過と,手術時期の調査を行った。本稿ではまず近年のDMD診療について述べた後,当院で行った研究について紹介し,QOLについて考察する。

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