特集 診断困難な小児外科症例:早期診断へのポイントとヒント
術前診断が困難であった腸間膜内ヘルニアの1例
三村 和哉
1
,
青井 重善
1
,
竹本 正和
1
,
髙山 勝平
1
,
金 聖和
1
,
文野 誠久
1
Kazuya Mimura
1
,
Shigeyoshi Aoi
1
,
Masakazu Takemoto
1
,
Shohei Takayama
1
,
Kiyokazu Kin
1
,
Shigehisa Fumino
1
1京都府立医科大学小児外科
pp.1071-1075
発行日 2022年11月25日
Published Date 2022/11/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000276
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はじめに
小腸間膜の全葉,または片葉の欠損による内ヘルニアは,小腸間膜裂孔ヘルニア(small bowel mesentery internal hernia)であり,好発部位は上腸間膜動脈枝の回腸動脈の分岐とその最終回腸枝との吻合とに囲まれるTreves’ fieldとされている1)(図1)。小腸間膜裂孔ヘルニアはヘルニア囊の有無から,腸間膜内ヘルニア(Treves’ field mesenteric pouch hernia:TFPH)と経腸間膜ヘルニア(Treves’ field transmesenteric hernia:TFTH)の2つに大別することができる(図2)。画像診断の進歩で内ヘルニアの術前診断は可能となったが,TFPHまで確定診断するには詳細な血管走行の確認が必要であり,開腹所見をもってしても診断困難な例がある。しかし,TFPHは腸閉塞を発症することが多く,小児急性腹症の診療において内ヘルニアの成因として念頭におく必要がある。
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