特集 極・超低出生体重児の治療戦略
鼠径ヘルニア(嵌頓を繰り返す)
末吉 亮
1
,
世川 修
1
,
山田 進
1
,
山口 隆介
1
Ryo Sueyoshi
1
,
Osamu Segawa
1
,
Susumu Yamada
1
,
Ryusuke Yamaguchi
1
1東京女子医科大学病院小児外科
pp.94-96
発行日 2025年1月25日
Published Date 2025/1/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000001072
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
極・超低出生体重児は8.5~30%に鼠径ヘルニアを発症するといわれており,成熟新生児での3.5~5%の発症率と比較すると高率に発症することは自明の理である1)。また,新生児期に鼠径ヘルニア根治術を施行した患児の再発率は8%であり2),こちらも小児全般の鼠径ヘルニア根治術の再発率0.15~0.69%と比較し,有意に高値である。極・超低出生体重児の鼠径ヘルニア根治術は非常に組織が脆弱であることから,ヘルニア囊の処理に難渋することがあり,小児外科疾患のなかで最も頻度の高い疾患であるものの,容易な手術とはいえない。また,われわれはわが国にて発展してきた腹腔鏡下経皮的腹膜外ヘルニア閉鎖術(laparoscopic percutaneous extraperitoneal closure:LPEC法)のみでのヘルニア門の結紮では,極・超低出生体重児男児鼠径ヘルニアの大きく開大したヘルニア門に対しては,再発率が高くなることが懸念されるため不十分と考えている。そこで,2020年より当科では極・超低出生体重児鼠径ヘルニア男児症例に対して,鼠径部切開法にLPEC法を追加したLPEC+Potts法にて手術を施行しており,本稿では本術式の有用性を報告する。

© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.