特集 共有したい術式および手術経験:手術のポイントや工夫
皮弁作製による喉頭気管分離術:術後気管皮膚瘻の減少を目指して
津久井 崇文
1
,
福本 弘二
1
,
矢本 真也
1
,
三宅 啓
1
,
野村 明芳
1
,
金井 理紗
1
,
大林 樹真
1
,
根本 悠里
1
Takafumi Tsukui
1
,
Koji Fukumoto
1
,
Masaya Yamoto
1
,
Hiromu Miyake
1
,
Akiyoshi Nomura
1
,
Risa Kanai
1
,
Juma Obayashi
1
,
Yuri Nemoto
1
1静岡県立こども病院小児外科
pp.276-279
発行日 2023年3月25日
Published Date 2023/3/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000386
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はじめに
難治性誤嚥は,重症心身障害児の療育・管理における大きな問題の一つである。誤嚥に対する外科治療として,喉頭気管分離術が近年数多く施行され,患児や介護者のquality of life(QOL)改善に寄与している。Lindemanら1,2)が最初に報告した術式であり,喉頭に手術操作を加える必要のない簡便さから,小児外科医にとっても馴染みのある手術となっている。喉頭気管分離術には,喉頭気管分離・気管食道吻合術1)と喉頭気管分離術2)があり,どちらの術式を選択するかは各施設で意見の分かれるところである。われわれは当初喉頭気管分離・気管食道吻合術を行っていたが,手技の容易さと気管食道吻合なしでも大きな問題が起きなかったことから,喉頭気管分離術を行うようになり,その後気管腕頭動脈瘻の発生頻度を低下させるために皮弁を用いた術式3,4)を考案した。気管腕頭動脈瘻の発生を単純気管切開と同等まで抑えることができる本術式は有効であると考えている。しかし,術者の変遷に伴い口側気管の閉鎖部位に瘻孔を形成し,口側気管と尾側気管が再開通する気管皮膚瘻を経験することが増加した。そこで2017年より喉頭閉鎖術の手技5~7)を応用した口側気管閉鎖を導入し,現在まで気管皮膚瘻の発生を認めていない。
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