特集 診断困難な小児外科症例:早期診断へのポイントとヒント
非特異性多発性小腸潰瘍症
内田 恵一
1
,
井上 幹大
2
,
梅野 淳嗣
3
,
大宮 直木
4
,
江﨑 幹宏
5
,
細江 直樹
6
,
中山 佳子
7
,
松本 主之
8
,
田口 智章
9
Keiichi Uchida
1
,
Mikihiro Inoue
2
,
Junji Umeno
3
,
Naoki Ohmiya
4
,
Mikihiro Esaki
5
,
Naoki Hosoe
6
,
Yoshiko Nakayama
7
,
Takayuki Matsumotu
8
,
Tomoaki Taguchi
9
1三重県立総合医療センター小児外科
2藤田医科大学小児外科
3九州大学大学院病態機能内科学
4藤田医科大学消化管内科学
5佐賀大学医学部内科学講座消化器内科
6慶應義塾大学医学部内視鏡センター
7信州大学小児科
8岩手医科大学医学部内科学講座消化器内科消化管分野
9福岡医療短期大学
pp.1085-1087
発行日 2022年11月25日
Published Date 2022/11/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000279
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はじめに
非特異性多発性小腸潰瘍症(以下,本症)は,病理学的に肉芽腫などの特異的な炎症所見のみられない潰瘍が小腸に多発する疾患である1)。その臨床像はいまだ不明な点が多いが,小児期~青年期に発症し,一般的な常染色体潜性(劣性)遺伝病と異なり女性に多いこと,男性例では消化管外徴候の肥厚性皮膚骨膜症を呈する症例が多いことなどが明らかとなっている2~4)。わが国では指定難病および小児慢性特定疾病の両方に指定されており5),重症例では完全静脈栄養療法や輸血が必要となり難治性の経過をたどる。近年プロスタグランジン輸送体をコードするSLCO2A1遺伝子の変異を原因とする遺伝性疾患であることが明らかとなり,SLCO2A1遺伝子の病的バリアントが確認された場合,chronic enteropathy associated with SLCO2A1 gene(CEAS)と診断する6,7)。
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