特集 医療的ケア児支援と在宅医療
大学病院小児外科における医療的ケア児に対する取り組み
坂井 宏平
1
,
金 聖和
1
,
東 真弓
1
,
文野 誠久
1
,
青井 重善
1
,
古川 泰三
1
,
田尻 達郎
1
Kohei Sakai
1
,
Kiyokazu Kin
1
,
Mayumi Higashi
1
,
Shigehisa Fumino
1
,
Shigeyoshi Aoi
1
,
Taizo Furukawa
1
,
Tatsuro Tajiri
1
1京都府立医科大学小児外科
pp.485-488
発行日 2022年5月25日
Published Date 2022/5/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000123
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はじめに
近年の医療技術の高度化により多くの患児が救命される一方で,医療的ケア児も年々増加している。近年,日本全体では約2万人の医療的ケア児が存在していると報告されている。医療的ケア児とは「人工呼吸器を装着している障害児その他日常生活を営むために医療を要する状態にある障害児」と定義されている1)。つまりは疾患や病態で定義されているわけではなく,必要な医療的ケアで定義されているため知的・肢体的には健常な児も含まれることになる(図1)。特に小児外科疾患術後の患児はこの知的・肢体健常児のカテゴリーに含まれることが多く,必然的に小児外科診療はこれらの医療的ケア児と密接に関わることになる。大学病院は医療に関わる「教育」,「研究」,「診療(臨床)」を担いながら先端医療を推進する基幹病院として位置づけられる。しかし昨今の少子高齢化に伴う人口・疾病構造の変化や地域医療構想などの医療構造改革の影響を受け,地域中核病院として地域社会に貢献することが求められてきている2)。
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