特集 入門! アタッチメントと小児期逆境体験を知る
アタッチメント障害・小児期逆境体験・トラウマ関連障害への対応~基本をおさえる
トラウマ関連障害のケア―きょうから学び,できること
山口 有紗
1,2
YAMAGUCHI Arisa
1,2
1子どもの虐待防止センター
2国立成育医療研究センター
pp.909-913
発行日 2025年7月1日
Published Date 2025/7/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000002478
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トラウマ関連障害との出会い方はいろいろ
プライマリケアの現場では,「トラウマ障害に出会ったことがない」「PTSD(心的外傷後ストレス障害)は診られない」といった声が聞かれることがある。しかし,実際には子どもにみられるトラウマの影響はPTSDに限られず,むしろPTSDの診断基準を満たす子どもは少ないとされている1)。DSM-5(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 5th edition)では,トラウマ関連障害としてPTSDのほか,急性ストレス障害,適応障害,アタッチメント障害(反応性アタッチメント障害,脱抑制型対人交流障害)などが含まれ,これらには解離性障害やパーソナリティ障害の併存も少なくない。不安障害,気分障害,摂食障害なども含め,「トラウマ性スペクトラム」として捉える視点もある2)。

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