特集 完全把握をめざす小児の心疾患
症候群
Marfan症候群と類縁疾患
豊野 学朋
1
TOYONO Manatomo
1
1秋田大学大学院医学系研究科小児科学講座
pp.602-606
発行日 2024年4月1日
Published Date 2024/4/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001619
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はじめに
Marfan症候群は,眼,心血管系,筋骨格系の病変を主症状とする結合組織疾患である1)。解離性胸部大動脈瘤,僧帽弁逸脱,心機能障害などの心血管症状は,罹患率および死亡率の主要因であり,その結果,臨床上の主な焦点となっている2)。Marfan症候群は,細胞外膜の構造成分であり,トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)の生物学的利用能の調節にも関与するフィブリリン-1の変異によって説明される3)。Marfan症候群のマウスモデルから得られた実験的知見から,潜在性TGF-β活性化が大動脈疾患の主要な原動力であることが示されている4~6)。この観察から,TGF-βシグナルの調節異常によって同様の心血管系異常を示すまれな疾患として,Marfan症候群類縁疾患が同定され,グループ化されるにいたった。このMarfan症候群関連疾患群には,Loeys-Dietz症候群,aneurysms-osteoarthritis症候群,症候群性胸部大動脈瘤,Shprintzen-Goldberg症候群などが含まれる3,7,8)。胸部大動脈瘤の病因にTGF-β経路が共通して関与していることから,抗TGF-β療法が,この遺伝性疾患群における大動脈壁の解離や破裂を遅らせる,あるいは予防する一般的な戦略である可能性が提起されている。
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