胸部外科医の散歩道
Marfan症候群の歩み
青見 茂之
1
1綾瀬循環器病院心臓血管外科
pp.220
発行日 2021年3月1日
Published Date 2021/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kyobu74_220
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- 文献概要
現在,ライフワークとして取り組んでいるMarfan症候群について「そこはかとなく」書いてみました.私とMarfan症候群の出会いは,大学を卒業して東京女子医科大学附属日本心臓血圧研究所基礎循環器科を心臓外科の新人としてローテーションしたことがきっかけでした.異例の新人の基礎系研修でしたが,教室を訪れると流体力学がご専門の菅原基晃教授(当時)に「Marfan症候群に合併した大動脈弁輪拡張症の脈波速度を計測して解析して下さい」と言われました.1981年春のことで,血管の硬さが脈波速度で評価できるということはまだ知られていない時代でした.Marfan症候群のことを図書館で勉強しましたが,Johns Hopkins大学のVictor A Mckusick先生の『Heritable Disorders of Connective Tissue』という著書を読んで勉強しました.この本はもう文化財級でしょうか.リンカーン大統領やピアニストのラフマニノフがMarfan症候群であるということを知り,大変興味を抱きました.
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