臨床経験
Marfan症候群
冨士川 恭輔
1
,
関 宏
1
,
新名 正由
1
,
水島 斌雄
1
,
真崎 祐介
1
,
宇田 正長
1
,
秦 順一
2
Kyosuke FUJIKAWA
1
1慶応義塾大学医学部整形外科学教室
2慶応義塾大学医学部病理学教室
pp.807-816
発行日 1970年10月25日
Published Date 1970/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904468
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はじめに
1896年,Marfanは,四肢,とくに指趾の長い特殊な疾患をPieds d'araignées(Dolicostenomelia=long,thin extremities)となづけた.
Achard1)(1902)は本疾患が蜘蛛状手指を呈するところからarachnodactylyなる名称を与え,本疾患の遺伝性を指摘した.Salle2)(1912)は心血管系の異常の合併を,Boerger3)(1914)は眼系の異常の合併を報告し,1つの症候群となし,Wilner4)はこれに家族性を加えて主症状のうち2つ以上見られるものをMarfan症候群としてarachnodactylyから区別した,Boerger3),Ganther5)(1927),Ramber6)(1939)らは原因として下垂体機能充進による内分泌障害説を唱えたが,Weve7)(1931)は本疾患はメンデルの法則に従う優性遺伝で,その原因は先天性遺伝性中胚葉性発育異常であるとし,Dystrophia mesodermalis congenita, typus Marfaniとした.その後多くの報告者によりいろいろな説が唱えられたが,現在では筋骨格系,心血管系,眼系に異常をきたす中胚葉性の先天体遺伝性結合織代謝異常症と考えるのが妥当とされている.
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