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特集 エキスパートが教える 小児の薬物治療
Ⅲ.疾患別
A.呼吸器疾患
小児急性呼吸窮迫症候群
Pediatric acute respiratory distress syndrome
笠木 実央子
1
Mioko Kasagi
1
1東京都立小児総合医療センター救命・集中治療部集中治療科
キーワード:
急性呼吸窮迫症候群
,
筋弛緩
,
一酸化窒素
,
ステロイド
,
サーファクタント
Keyword:
急性呼吸窮迫症候群
,
筋弛緩
,
一酸化窒素
,
ステロイド
,
サーファクタント
pp.263-269
発行日 2023年11月30日
Published Date 2023/11/30
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001226
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1 疾患概念
小児急性呼吸窮迫症候群(pediatric acute respiratory distress syndrome:PARDS)は,心不全や輸液負荷で説明できないび漫性の肺水腫と急性の低酸素血症を特徴とする臨床症候群である。病態生理の特徴は,肺内外の炎症により惹起される肺胞上皮と血管内皮の損傷に伴って起こる,肺胞毛細血管透過性亢進と肺胞内の蛋白質に富む浮腫液の蓄積である。さらに,線溶の抑制とサーファクタントの減少に伴い,凝固が無制限に活性化される。これらの変化が,機能的残気量の低下,生理的死腔の増加および肺コンプライアンスの低下を引き起こす。近年では年齢による肺・胸壁・免疫系の変化,併存疾患,病態生理学,誘引の違いなどの観点から不均一な疾患群であることが指摘されており,サブタイプの違いにより治療反応性や予後が異なる可能性が示唆されている1)。
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