特集 肺炎診療のピットフォール—COVID-19から肺炎ミミックまで
【感染性肺炎の合併症と鑑別疾患】
❶急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
稲田 崇志
1
,
片岡 惇
1
1練馬光が丘病院 総合救急診療科 集中治療部門
キーワード:
急性呼吸窮迫症候群
,
ARDS
,
AECC定義
,
ベルリン定義
,
両側肺浸潤影
,
急性呼吸不全
Keyword:
急性呼吸窮迫症候群
,
ARDS
,
AECC定義
,
ベルリン定義
,
両側肺浸潤影
,
急性呼吸不全
pp.188-193
発行日 2021年2月15日
Published Date 2021/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429202994
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ARDS(acute respiratory distress syndrome)は、1960年代に認識されて以来、医学が大きく進歩してきたにもかかわらず依然として死亡率の高い症候群である。重症ARDSにおける死亡率は40%にものぼる1)。
そもそもARDSという疾患概念は、「何らかの傷害による肺の病的反応」とやや曖昧なものであり、臨床現場でもARDSという言葉を「急性呼吸不全を起こすさまざまな鑑別疾患のなかの診断名の1つ」なのか、「急性呼吸不全を起こしているさまざまな病態のなかの1つ」なのかを意識せず用いているのではないだろうか。概念の共通化を目的として作成された国際的な定義2)は、「ARDSとは何か?」に答えてくれるものではなく、むしろ実臨床で鑑別を進めていく弊害の1つになっている感すらある。
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