特集 腎・泌尿器疾患―血尿から移植まで
トピック
iPS細胞を用いた腎疾患研究
倉岡 将平
1
KURAOKA Shohei
1
1熊本大学小児科
pp.1209-1211
発行日 2023年7月1日
Published Date 2023/7/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001023
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はじめに
胚性幹細胞(embryonic stem cell:ES細胞)の分離・培養から発展してきた幹細胞生物学は人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell:iPS細胞)の誘導法の確立を経てさらに進歩を重ねている。これらの幹細胞から誘導された臓器様構造物をオルガノイドとよぶが,このオルガノイド研究が発生学や疾患研究,再生医療といった幅広い分野で応用されている。さまざまな臓器オルガノイドの誘導法が報告されていくなか,腎臓オルガノイドの研究はほかの臓器オルガノイドに比べ大きく遅れをとっていた。腎臓が多様な細胞と複雑な立体構造から成る臓器であることに加え,詳細な発生過程が明らかになっていなかったことがその遅れの要因である。しかし,腎臓発生における分子機構が明らかになってきたことで,腎臓オルガノイド研究も近年大きく前進している。
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