特集 分子標的薬を極める
総論
抗体医薬品の安全性について
坂中 千恵
1
SAKANAKA Chie
1
1バイエル薬品株式会社研究開発本部オンコロジー開発
pp.167-174
発行日 2023年2月1日
Published Date 2023/2/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000753
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はじめに
抗体は体内に入ってきた異物,たとえば細菌・ウイルスなどの病原体,非自己タンパク質などを排除するための生体防御の免疫反応の一つであり,体内ではリンパ球の一種であるB細胞により産生される。20世紀になってマウスなどを用いたモノクローナル抗体作製技術が確立され,さらには遺伝子編集技術による人工的な抗体分子作製,またマウス抗体のヒト化技術やヒト型抗体産生マウスなどの技術革新により,抗体分子の医薬品としての開発が進んでいる。抗体の特徴である,抗原認識における非常に高い特異性と結合性から,とくに標的医薬・個別化医療への展開が期待されている。本稿では,抗体医薬品の安全性について,そのモダリティの特徴とともに留意すべき点などを概観する。
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