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1 基本病因,発症機序
筋ジストロフィーは臨床的に進行性の筋力低下および筋萎縮を示す遺伝性疾患である。また,筋病理学的には筋線維の壊死・再生,および線維化をみるものである。肢帯型筋ジストロフィー(limb-girdle muscular dystrophy:LGMD)は1954年にWaltonらがDuchenne型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy:DMD),顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(facioscapulohumeral muscular dystrophy:FSMD),筋強直性ジストロフィー(dystrophia myotonica:DM)などと異なる筋ジストロフィーを臨床的および遺伝学的疾患として報告したものである1)。LGMDは進行性の筋力低下・筋萎縮を示し,発症は小児期後期から成人期である。発症時には肢帯筋,とくに下肢帯(腰帯)筋が傷害される疾患である。Waltonらの報告後に種々のタイプのLGMDが報告され,LGMDの分類は遺伝形式や発症年齢,臨床症状(発症時の罹患筋など)に基づいて行われた。しかし,近年の分子遺伝学の著しい進歩によりLGMDの責任遺伝子が続々と同定され,多くのLGMDサブタイプが報告された。1995年,欧州神経筋センター(European Neuromuscular Centre:ENMC)による会議で,LGMDは分子遺伝学的基準に基づき,常染色体性顕性(優性)遺伝(autosomal dominant:AD)形式をとるものをLGMDタイプ1として同定の順にアルファベットを割り付けた2)。LGMDタイプ1サブタイプは8つとなった。また,常染色体性潜性(劣性)遺伝(autosomal reccesive:AR)形式をとるものをLGMDタイプ2とし,原因遺伝子は24以上が同定され,それぞれ割り付けられた。しかし,この分類の中にはLGMD以外の遺伝性ミオパチーである先天性ミオパチーや代謝性ミオパチーなどが含まれたため,混乱を招くこととなった。また,発症時に肢帯筋が傷害される筋ジストロフィーはLGMDばかりではなく,先天性筋ジストロフィー,遠位型筋ジストロフィー,先天性ミオパチー,先天性筋無力症候群,筋炎などでもみられるためでもある。LGMDの原因遺伝子とされるものが先天性筋ジストロフィー,遠位型筋ジストロフィー,先天性ミオパチーなどの原因遺伝子でもあるため,より混乱を招くこととなった(図)3)。
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