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増刊号 小児疾患診療のための病態生理3―改訂第6版―
Ⅲ.神経疾患
3.大脳の形成異常―脳梁欠損,全前脳胞症,滑脳症,異所性灰白質
Dysplasia of the cerebrum: Agenesis of the corpus callosum, holoprosencephaly, lissencephaly, and heterotopia
加藤 光広
1,2
KATO Mitsuhiro
1,2
1昭和大学医学部小児科学講座
2昭和大学病院てんかん診療センター
pp.246-252
発行日 2022年12月23日
Published Date 2022/12/23
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000553
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1 基本病因,発症機序
脳,とくに大脳は,多数の分子が時期と部位特異的に発現し,神経管形成,腹側誘導,細胞産生,細胞移動,細胞分化(領域特異化),回路網形成を経て形成される。全前脳胞症は腹側誘導の障害,滑脳症と異所性灰白質は神経細胞の産生部位から皮質への移動障害が原因である。脳梁は胎生8~14週に軸索が伸長し,半球間で交差して形成される。脳梁欠損は軸索の伸長交差障害である。大脳新皮質における神経細胞移動は胎生期前半(6~20週)に完了する。左右対称性の古典型滑脳症と皮質下帯状異所性灰白質の多くは遺伝性である。遺伝子によっては,神経細胞の移動以外に神経管形成から始まるさまざまなステップに作用し,たとえば細胞産生の異常では先天性の小頭症を,軸索伸長障害では脳梁欠損を併発し,原因遺伝子ごとに特徴的な形態異常を示す1)(表)。胎内感染,放射線被曝,薬物,出血,低酸素虚血など環境性や代謝異常症の二次変化でも生じる。
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