Japanese
English
特集 脳奇形の遺伝子異常と形成機序
2.滑脳症
Lissencephaly
水口 雅
1
Masashi Mizuguchi
1
1自治医科大学小児科
1Department of Pediatrics, Jichi Medical School
キーワード:
lissencephaly
,
neuronal migration disorder
,
LIS 1
,
PAF acetylhydrolase
,
doublecortin
Keyword:
lissencephaly
,
neuronal migration disorder
,
LIS 1
,
PAF acetylhydrolase
,
doublecortin
pp.667-673
発行日 1999年8月1日
Published Date 1999/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901472
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに—大脳神経細胞の遊走—
ヒトの最大の特徴である高度の知的機能は,主として大脳皮質の働きに因る。大脳皮質は皮質下諸核と相互に連絡し,高度の構築をもった神経回路を構成する。この回路が正しく形成され,機能を発揮するためには,機能素子である神経細胞が正しい位置に配置されることが前提条件となる。哺乳類の大脳新皮質では,神経細胞の多くが第II層から第VI層に分布する。第I層(分子層)と皮質下白質(第VII層)にも少数の神経細胞があり,前者はCajal-Retzius細胞,後者はsubplateneuronと呼ばれる。
大脳皮質の神経細胞の祖先は側脳室上衣下の胚細胞層(germinalまたはventricular zone)に存在する神経系幹細胞である。分裂・増殖を終えた幹細胞は神経細胞へと分化し,radial gliaの突起を伝わって表層への移動を開始する。途中,中間層(intermediate zone)を通過し,目的地である皮質原基(cordcal plate)に到達して,定着する。この過程は神経細胞遊走(neuronalmigration)と呼ばれ,ヒト胎児においては胎生2〜5月に進行する。これに対応した大脳の肉眼的形態の変化として,脳溝・脳回の形成が見られる。
Copyright © 1999, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.