特集 周産期の画像診断 第3版
新生児編 Ⅳ.MRI診断 A.頭部
脳の形成異常
加藤 光広
1
KATO Mitsuhiro
1
1昭和大学医学部小児科学講座
キーワード:
全前脳胞症
,
滑脳症
,
水頭症
,
脳梁欠損
,
裂脳症
Keyword:
全前脳胞症
,
滑脳症
,
水頭症
,
脳梁欠損
,
裂脳症
pp.470-475
発行日 2024年12月23日
Published Date 2024/12/23
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001901
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はじめに
脳の形成異常は,胎児期の脳の発生障害によって,形態的な異常をきたした疾患であり,画像診断が欠かせない。脳のなかでも大脳皮質の形成異常が多く,灰白質と白質が明瞭に区分され,微細な脳回・脳溝の異常が特定しやすい新生児期のMRIは,画像診断にとりわけ有用である。現在は,脳形成異常の遺伝学的な原因が多数判明し,疾患の分子病態と脳の発生機構の解明が相まって進み,脳の形成異常に関する知見は急速に進歩している。脳の形成異常の分類は,MRIを中心とする画像診断のほかに,介在ニューロン病(interneuronopathies),繊毛病(ciliopathies),チューブリン病(tubulinopathies),mammalian/mechanistic target of rapamycin(mTOR)病(mTOR opathies)など,共通の分子病態に基づく疾患概念が提唱されており,正しい画像診断と遺伝子解析が両輪である1)。一見,外因性に思われる脳の形成異常画像でも遺伝学的背景が明らかにされている。脳の形成異常の診断にはパラダイムシフトが起きており,最新の情報収集が必要である。本稿では,新生児早期に発症し気づかれることが多い脳の形成異常を取り上げ,画像診断を中心に述べ,その分子病態を補足する。
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