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増刊号 小児疾患診療のための病態生理3―改訂第6版―
Ⅲ.神経疾患
2.神経管閉鎖不全―二分脊椎,脊髄髄膜瘤,脊髄脂肪腫
Neural tube defects
栗原 淳
1
KURIHARA Jun
1
1埼玉県立小児医療センター脳神経外科
pp.240-245
発行日 2022年12月23日
Published Date 2022/12/23
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000552
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はじめに
神経管閉鎖不全とは,胎生3~8週の神経管形成時期に脊椎や脊髄の形成が障害されることにより生じる病態である。脊椎の構成要素である椎弓や椎体の形成不全により,脊椎管が開放した状態を二分脊椎といい,この状態により症状が出現しているまたは症状が出現する危険がある状態を二分脊椎症という。二分脊椎を介して脊髄や髄膜などの脊椎管内の構造物が脊椎管外に脱出したり,脂肪組織や皮膚などの脊椎管外の構造物が脊椎管内に迷入し脊髄を牽引することにより,さまざまな症状を生じる。代表的な疾患は,腰背部に皮膚欠損を有し脊髄や髄膜が露出している脊髄髄膜瘤であり,このように外観から二分脊椎が明らかな病態を顕在性二分脊椎(図1A)という。これに対して外観だけでは診断が困難な病態を潜在性二分脊椎(図1B)とよぶ。潜在性二分脊椎のなかには脊髄脂肪腫や先天性皮膚洞があり,腰背部正中に皮下腫瘤や血管腫などの皮膚異常を伴うことが多い。本稿では,神経管閉鎖不全のなかで頻度の高い脊髄髄膜瘤と脊髄脂肪腫について,その病態生理と診療方針について解説する。
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