Japanese
English
特集 脳奇形の遺伝子異常と形成機序
1.神経管奇形と全前脳胞症
Neural Tube Defects and Holoprosencephaly
塩田 浩平
1,2
,
中津 智子
1,2
,
樋上 敦
1,3
,
李 忠連
1,4
,
山田 重人
2,5
Kohei Shiota
1,2
,
Tomoko Nakatsu
1,2
,
Atsushi Hinoue
1,3
,
ZhongLian Li
1,4
,
Shigehito Yamada
2,5
1京都大学大学院医学研究科生体構造医学講座(形態形成機構学)
2京都大学大学院医学研究科附属先天異常標本解析センター
3京都大学大学院医学研究科感覚運動系病態学講座(形成外科学)
4現所属:大阪医科大学第一解剖学教室
5現所属:京都大学医学研究科附属病院産婦人科
1Department of Anatomy and Developmental Biology, Graduate School of Medicine Kyoto University
2Congenital Anomaly Research Center, Graduate School of Medicine Kyoto University
3Department of Plastic and Reconstructive Surgery, Graduate School of Medicine, Kyoto University
キーワード:
neural tube defects
,
neurulation
,
holoprosencephaly
,
Sonic hedgehog gene
,
genetic heterogeneity
Keyword:
neural tube defects
,
neurulation
,
holoprosencephaly
,
Sonic hedgehog gene
,
genetic heterogeneity
pp.659-666
発行日 1999年8月1日
Published Date 1999/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901471
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はじめに
重症の中枢神経系先天異常をもった個体は胎生早期から胎内で死亡することが多く,家系分析や遺伝子解析が容易でないため,ヒトの個別の症例について原因を特定することは一般に容易でない。これまでの遺伝疫学的研究によって,神経管奇形や全前脳胞症の原因はheterogeneousで,単一遺伝子の異常,染色体異常,環境要因,さらに遺伝と環境の相互作用によるもの(多因子性またはポリジーン遺伝)が混ざり合っているとされている1〜3)。ヒトでは,これらの先天異常の原因となる遺伝子異常についてのデータは乏しかったが,近年の分子生物学の研究によって,マウスなどで遺伝子の機能解析が進んだ結果,それをもとにヒトでのホモロジーが調べられ,実際に患者で遺伝子の異常が同定される例も報告されている。ここでは,神経管奇形と全前脳胞症の発症に関与する遺伝子異常について,最近の知見を中心に述べる。
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