Japanese
English
増刊号 小児疾患診療のための病態生理3―改訂第6版―
Ⅱ.先天代謝異常
25.異染性脳白質ジストロフィー
metachromatic leukodystrophy
大橋 十也
1
OHASHI Toya
1
1東京慈恵会医科大学医学部看護学科健康科学疾病治療学
pp.174-178
発行日 2022年12月23日
Published Date 2022/12/23
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000539
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
- サイト内被引用 Cited by
1 基本病因,発症機序
異染性脳白質ジストロフィー(metachromatic leukodystrophy:MLD)はライソゾーム酵素の一つであるArylsulfatase A(ARSA)の欠損またはSaposin Bの欠損により,その基質であるSulfatideが髄鞘(ミエリン)形成である希突起膠細胞(oligodendrocyte)やシュワン細胞(Schwann cell)に蓄積して細胞死を引き起こし,結果として中枢神経系や末梢神経系に脱髄を引き起こす疾患である。Saposin Bは,その前駆体であるProsaposinより生成され,疎水性が強いSulfatideに結合ARSAとの会合を即す役目をしている。Sulfatideは神経系以外に,胆囊,腎臓などにも蓄積する。脱髄により進行性の運動機能障害,認知機能障害などの神経症状を呈する。ARSAはライソゾームに局在するため本症はライソゾーム病の一つに分類される。ARSA遺伝子は染色体上では22q13.33に局在しProsaposin遺伝子は10q22.1に局在し,常染色体潜性(劣性)遺伝形式で遺伝する。本症は小児期発症の遺伝性脱髄疾患のなかでは頻度が高いほうである。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.