症例
A型インフルエンザ罹患後の急激な退行を契機に異染性白質ジストロフィー症の診断に至った2例
秋本 智史
1
,
山田 啓迪
,
高橋 里奈
,
原 聡
,
中澤 友幸
,
大日方 薫
,
新井田 要
,
大橋 十也
,
清水 俊明
1順天堂大学医学部附属浦安病院 小児科
キーワード:
ヘテロ接合体
,
インフルエンザ-ヒト
,
インフルエンザウイルスA型
,
MRI
,
退行(心理学)
,
白質ジストロフィー-異染性
,
ミスセンス変異
,
遺伝学的検査
Keyword:
Heterozygote
,
Genetic Testing
,
Leukodystrophy, Metachromatic
,
Influenza, Human
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Influenza A virus
,
Regression (Psychology)
,
Mutation, Missense
pp.203-207
発行日 2017年2月1日
Published Date 2017/2/1
DOI https://doi.org/10.18888/J00639.2017198415
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
症例1:2歳2ヵ月男児。退行と発達遅滞を主訴とした。乳児期より運動発達遅滞を認め、シャフリングベビーとして経過観察されていた。A型インフルエンザの感染を契機に、伝い歩きや座位保持が困難となり、頭部MRIで被殻と両側側脳室深部白質に高信号域を認めた。白血球アリルスルファターゼA活性の低値と尿中サルファタイドを認め、異染性白質ジストロフィー症(MLD)と診断した。症例2:10歳女児。発達遅滞を主訴とした。2歳2ヵ月時のA型インフルエンザの感染を契機に、座位保持困難など急激な退行を認めた。頭部MRIで広範な白質病変を認め、白血球アリルスルファターゼA活性が低下しておりMLDと診断した。その後、4歳時にてんかんを発症し、数年で寝たきりとなった。筋緊張の著明な亢進があり、7歳で胃瘻、8歳よりボツリヌス菌の定期的な注射を行った。現在は病状は安定している。
Copyright © 2017, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.