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増刊号 小児疾患診療のための病態生理3―改訂第6版―
Ⅱ.先天代謝異常
24.ガングリオシド蓄積症―GM1・GM2 ガングリオシドーシス
GM1 Gangliosidosis (β-Galactosidosis) and GM2 Gangliosidodis (Tay-Sachs disease, Sandhoff disease, GM2 activator protein deficiency)
小林 博司
1
KOBAYASHI Hiroshi
1
1東京慈恵会医科大学総合医科学研究所遺伝子治療研究部
pp.166-173
発行日 2022年12月23日
Published Date 2022/12/23
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000538
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はじめに
糖脂質はセラミドとよばれる長い炭化水素鎖をもつ複合糖質であり,①グリセロールを基本骨格とするグリセロ糖脂質,②スフィンゴイド注を基本骨格とするスフィンゴ糖脂質に分類されるが,ガングリオシドは②のうちシアル酸(炭素数9のアミノ糖であるノイラミン酸の誘導体の総称)を含むものの総称。中枢神経系に非常に多く分布し,神経節の意味をとって,ガングリオシドと名付けられた。とくに神経終末や神経突起に多く,主に細胞膜の構成成分とされる。ヒトの中枢神経系のガングリオシドはコレラ菌やボツリヌスの毒素の受容体,ウイルスの感染部位,核酸のリン酸化やカルシウムイオンの移動への関与,免疫細胞の認識機構との関連が明らかになってきており,現在60種以上が同定されているが,GM1,GD1a,GD1b,GT1bが大部分を占め,このうちGM1はライソゾーム酵素によってGM2➡GM3➡ラクトシルセラミドへと代謝されるため(図1A)1, 2),この酵素群の機能不全により細胞内蓄積をきたす。GM1をGM2に分解するβガラクトシダーゼの不全でGM1蓄積症,GM2をGM3に分解するβヘキソサミニダーゼの不全でGM2蓄積症をきたし,これらが代表的なガングリオシド蓄積症(ガングリオシドーシス)とされる。
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