特集 どこまで変わるの? 腎細胞癌診療の進歩
企画にあたって
どこまで変わるの? 腎細胞癌診療の進歩
大家 基嗣
1
1慶應義塾大学医学部泌尿器科学教室
pp.307
発行日 2023年4月20日
Published Date 2023/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413207820
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腎細胞癌に対する薬物治療に複合免疫療法が導入されたインパクトは大きく,期待とは裏腹に戸惑いもありました.最初の複合免疫療法はニボルマブとイピリムマブの併用療法であり,免疫関連有害事象への対応について経験を重ね,慣れてきたところで,分子標的薬(TKI)と免疫チェックポイント阻害薬の併用療法が導入されました.ペムブロリズマブとアキシチニブの併用療法とアベルマブとアキシチニブの併用療法が同時に承認されました.さらに最近になって,ニボルマブとカボザンチニブの併用療法とペムブロリズマブとレンバチニブの併用療法が承認されました.次々に現れてくるファーストラインの治療法に対する正直な印象は,「どこまで変わるの?」ではないでしょうか.
本特集の意図としては,多様化した複合免疫療法への理解を深めるだけでなく,腎細胞癌を取り巻く「環境の変化」にもスポットを当てたいと考えたからです.それは,腎細胞癌のWHO分類が大きく変わったことに代表されます.新たに,遺伝子異常での分類が取り入れられました.ゲノムの研究成果が反映されたのです.複合免疫療法の臨床と並行して理論的根拠に関する基礎研究が活発に展開されています.特に腎細胞癌では,その特殊な免疫環境が注目されています.
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