特集 症例から学ぶミトコンドリア病
ミトコンドリア異常症に含まれる疾患群
ミトコンドリア糖尿病
桑原 怜未
1
,
浦上 達彦
1
KUWABARA Remi
1
,
URAKAMI Tatsuhiko
1
1日本大学医学部小児科学系小児科学分野
pp.623-628
発行日 2022年4月1日
Published Date 2022/4/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000129
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はじめに
ミトコンドリア糖尿病は,ミトコンドリアDNA遺伝子異常により進行性のインスリン分泌低下を呈する糖尿病であり,日本糖尿病学会の糖尿病診断基準に関する調査検討委員会の「糖尿病と糖代謝異常の成因分類」1)において「Ⅲ.その他の特定の機序,疾患によるもの」の「A.(1)膵β細胞機能にかかわる遺伝子異常」に分類される。日本人糖尿病の約1%を占め,もっとも頻度が高いのはミトコンドリアDNA 3243A>G変異による糖尿病である。低身長,やせ型,比較的若年の発症,母系遺伝が特徴とされ,感音性難聴,心筋症,心刺激伝導障害などのミトコンドリア異常症関連合併症を高頻度に認める2)。
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