特集 症例から学ぶミトコンドリア病
ミトコンドリア異常症に含まれる疾患群
ミトコンドリア腎症
今澤 俊之
1,2
IMASAWA Toshiyuki
1,2
1国立病院機構千葉東病院腎臓内科
2国立病院機構千葉東病院臨床研究部腎ミトコンドリア研究室
pp.610-614
発行日 2022年4月1日
Published Date 2022/4/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000126
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症 例
生来健康であったが,17歳時の学校検尿から尿蛋白を指摘され始めた(尿潜血は陰性)。その後も健康診断のたびに尿蛋白を指摘された。18歳時の検尿でも尿蛋白を認め,腎臓内科へ紹介される。家族歴として,母方の祖母が糖尿病性腎症から維持透析にいたっていた。18歳時に腎生検を施行した。腎生検時に特記すべき身体所見上の異常はなく,難聴もなかった(20歳時から難聴を認めている)。eGFR 78mL/分/1.73m2,尿蛋白1.2g/gCre,尿中赤血球0~1/HPF。腎生検では,22個の糸球体が採取され,そのうち4個が球状硬化に陥り,2個が虚脱糸球体像を呈していたが,残存糸球体は正常像を呈していた。蛍光免疫染色では免疫グロブリンや補体の沈着を認めず,電子顕微鏡でも観察された非硬化糸球体に特段の異常所見を認めなかった(ミトコンドリア異常もなし)。
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