特集 症例から学ぶミトコンドリア病
研究の最前線と新しい治療法
ミトコンドリア病と自己炎症
田口 友彦
1
TAGUCHI Tomohiko
1
1東北大学大学院生命科学研究科細胞小器官疾患学分野
pp.629-633
発行日 2022年4月1日
Published Date 2022/4/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000130
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はじめに
細胞質性タンパク質cyclic GMP-AMP synthase(cGAS)-STING経路は,細胞質DNAセンシング経路である1)。細胞質DNAの出現に応答して,転写因子IRF3やNF-κBを活性化し,Ⅰ型インターフェロン応答,炎症応答をひき起こす。近年,DNAウイルスの感染で細胞質にもち込まれる「非自己」DNAに加えて,「自己」DNAであるミトコンドリアDNA(mtDNA)または核ゲノムDNAにも応答して炎症応答をひき起こし,そのことが種々の自己炎症性疾患・神経変性疾患の原因になっていることが明らかにされ注目されている2)。
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