特集 症例から学ぶミトコンドリア病
ミトコンドリア異常症に含まれる疾患群
慢性進行性外眼筋麻痺症候群(CPEO),Kearns-Sayre症候群
平松 有
1
,
岡本 裕嗣
1,2
HIRAMATSU Yu
1
,
OKAMOTO Yuji
1,2
1鹿児島大学大学院医歯学総合研究科神経病学講座脳神経内科・老年病学
2鹿児島大学医学部保健学科理学療法学専攻基礎理学療法学講座
pp.587-591
発行日 2022年4月1日
Published Date 2022/4/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000121
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症 例
15歳,女性。家族歴はとくになし。小学生のころから運動は苦手で徒競走はいつも最下位だった。13歳より眼瞼下垂が出現し,眼科にて外眼筋麻痺を指摘されたが,複視の訴えはなかった。日内変動なく緩徐に進行したために小児科へ精査入院となった。嚥下障害や構音障害はなかったが,筋力低下が近位筋優位に低下していた。血液,髄液の乳酸,ピルビン酸の上昇がみられ,運動負荷でも有意な上昇を認めた。筋生検を施行したところ,赤色ぼろ線維(ragged-red fibers:RRF)とチトクロームc酸化酵素(cytochrome c oxidase:COX)染色で染色されない線維が散在し,筋検体のmitochondria DNA(mtDNA)の解析で単一大欠失がみられたことから慢性進行性外眼筋麻痺症候群(chronic progressive external ophthalmoplegia:CPEO)と診断した。
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