Japanese
English
総説
Kearns-Shy症候群
Kearns-Shy Syndrome
木下 真男
1
,
鈴木 雍人
1
Masao Kinoshita
1
,
Yasuto Suzuki
1
1東邦大学医学部第4内科
1Department of Medicine, Toho University School of Medicine
pp.1141-1155
発行日 1977年11月1日
Published Date 1977/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406204151
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I.はじめに
ある種の疾患概念が成立するためには,まずその疾患の患者が存在することが必要であるのはいうまでもない。従つてその出発点では,概念はすべて自然発生的であり,症例1人1人にそれぞれの疾患概念が存在するはずである。やがて同類の複数の症例が蓄積され,それらに共通な性質が抽出され,それをもとにひとつの患者のグループがまとめあげられるに至る。更に検索が進むと,別別な病名で呼ばれていた幾つかのグループが実は同じものであつたことが明らかとなり,更に大きなまとめあげが必要となることがある。しかし一方では,新しい検査法が開発されたために,同類にまとめられていた患者達が実は異なつた疾患を有していたことがわかり,再び幾つかのグループに分離されることも稀ではない。
こうして統合と分離をくり返しながら,次第に真実に近い概念が形成されてくるのであり,いわば疾患概念というものは常に流動的に変動しながら完成に進むものと考えることができる。そしてある時点で最も信頼しうる概念とは,①その時点までに得られた知識を最大限に反映し,②同じ疾患の患者をできるだけ漏れないように拾いあげ,③異つた疾患の患者の混入をできるだけ防げるもの,であるべきであろう。
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