特集 今知っておきたいゲノム医療と遺伝子治療―基礎から臨床まで
総論
ゲノム編集の機序
鐘ヶ江 裕美
1
KANEGAE Yumi
1
1東京慈恵会医科大学・総合医科学研究センター・基盤研究施設
pp.274-279
発行日 2022年2月1日
Published Date 2022/2/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000056
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はじめに
近年の遺伝子工学の発展に伴い,大きな遺伝子のクローニングやシーケンスが簡単に行えるようになってきた。染色体DNAからmRNAの転写,およびタンパク質への翻訳や目的とするプラスミドなどのDNAを効率的に複製することを人工的に行うことは今では容易な技術となっている。しかし染色体の特定の場所の特定の塩基を置換するような技術については,トランスジェニックマウスやノックアウトマウス作出などで使用されている相同組換え(homologous recombination:HR)に頼っていた。しかし,組み換え効率がきわめて低いため,目的遺伝子と一緒に薬剤耐性遺伝子を挿入して薬剤選択により目的の細胞を濃縮する必要があった。
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