特集 周産期の画像診断 第3版
母体・胎児編 Ⅰ.超音波診断 A.妊娠初期
妊娠初期に超音波検査で確認すべき事項
金川 武司
1
KANAGAWA Takeshi
1
1国立循環器病研究センター産婦人科
キーワード:
妊娠初期超音波検査
,
頭殿長計測
,
予定日の決定
,
多胎
,
膜様診断
Keyword:
妊娠初期超音波検査
,
頭殿長計測
,
予定日の決定
,
多胎
,
膜様診断
pp.41-46
発行日 2024年12月23日
Published Date 2024/12/23
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001813
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はじめに
『産婦人科診療ガイドライン産科編2023』によると,妊娠初期に行われる「通常超音波検査」として,子宮体部腔内胎児(胎芽)の認識(子宮内膜に囲まれた胎囊を確認できるか,異所性妊娠),胎芽像の確認(枯死卵),児心拍の確認(子宮内胎児〔胎芽〕死亡,胞状奇胎などの絨毛性疾患),頭殿長計測(妊娠週数決定のための補助診断),胎児数の確認と膜性診断(単胎・多胎の診断)子宮および付属器異常の有無(子宮奇形,子宮腫瘍,付属器腫瘤)がある1)。産婦人科に携わるものは誰もが習得すべき必須の検査である。一方で,この時期は,胎児後頸部皮下透明領域(nuchal translucensy:NT)による染色体異常のリスクが評価可能で,超音波機器の高性能化により,診断できる胎児形態異常も増えている。こういった検査は,全妊婦を対象とした標準的検査ではなく,事前の適切な遺伝学的カウンセリングを必要とする遺伝学的検査(胎児超音波検査)である。本稿では,確認すべき事項として,「通常超音波検査」である頭殿長(crown-rump length:CRL)計測と多胎の膜性診断を中心に,妊娠初期に超音波検査で観察するべき事項を以下に述べる。
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