特集 周産期の画像診断 第3版
母体・胎児編 Ⅰ.超音波診断 A.妊娠初期
異所性妊娠
石川 哲也
1
,
関沢 明彦
1
ISHIKAWA Tetsuya
1
,
SEKIZAWA Akihiko
1
1昭和大学病院産婦人科学講座
キーワード:
異所性妊娠
,
ヒト絨毛性ゴナドトロピン
,
生化学的検査
,
超音波検査
,
MRI検査
Keyword:
異所性妊娠
,
ヒト絨毛性ゴナドトロピン
,
生化学的検査
,
超音波検査
,
MRI検査
pp.47-51
発行日 2024年12月23日
Published Date 2024/12/23
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001814
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異所性妊娠の疫学
異所性妊娠は全妊娠の1~2%程度と報告されている。妊娠初期の出血,疼痛,またはその両方を訴えて救急受診する女性の16%が異所性妊娠に起因しているとの報告もあり1),身近に遭遇する救急疾患であるといえる。米国での報告によると妊娠初期の死亡原因の9~14%,妊娠関連死全体では5~10%を占めるとされる2)。受精卵の着床異常により引き起こされ,発生部位としては卵管妊娠が圧倒的に多く全体の95~98%を占めており,卵管の部位別の割合では膨大部が90%,峡部が2~3%,間質部が1~2%,卵管采が2~3%とされている。また卵管妊娠のほかに卵巣妊娠が3%未満,帝王切開瘢痕部妊娠,頸管妊娠,腹腔内妊娠がそれぞれ1%未満,とされている。骨盤内感染により卵管閉塞や腹腔内癒着が生じることで発生リスクが高まるとされており,クラミジア検査陽性の場合,陰性者と比較してリスクが31%増加するともいわれている。異所性妊娠は繰り返すことも多く既往歴のある患者では,ない患者と比較して約3~8倍リスクが高いことから,既往歴にも注意する必要がある。
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