膜の解剖からみた消化器一般外科手術・1【新連載】
基本事項
金谷 誠一郎
1
1国立姫路病院・外科
pp.641-646
発行日 1996年5月20日
Published Date 1996/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902301
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はじめに
消化器あるいは一般外科の手術に関しては,いわゆる成書からTips集といったものまで数多くの書籍が出版されている.しかし,それらの多くは局所の解剖・手技に重点を置きすぎており,その結果,消化器あるいは身体全体といったレベルでの解剖学的統一性に欠け,ついには手術に対する論理性にも疑問符を付けざるを得ないものも存在する.つまり,胃ならば胃の,直腸なら直腸の解剖があり,またそれぞれに対する手術手技が存在するといった具合である.それらの手術書は,基本をマスターしたうえで参考にすれば大いに役立つのであるが,これから手術手技を身に付けようとする若い外科医には,やや敷居が高いように思われる.
今月から始まるこの連載では,局所にのみ通用する解剖・手技ではなく,消化器一般に通用する解剖学的な基本事項を中心に,代表的な手術についての解説を行う.解剖学的に,あるいは手術に対する論理性において普遍的な基本事項を身に付けさえすれば,いついかなる事態にも対処できるであろうし,いわゆる応用問題に対しても“考える手術”で対応できるものと信じている.
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