症例
血管型Ehlers-Danlos症候群合併妊娠の周産期管理:症例報告と文献的レビュー
熊谷 奈津美
1
,
富田 芙弥
1
,
星合 哲郎
2
,
岩間 憲之
1
,
只川 真理
1
,
濱田 裕貴
1
,
齋藤 翔子
1
,
秋山 志津子
3
,
埴田 卓志
3
,
小原 拓
4
,
谷垣 伸治
5
,
古庄 知己
6
,
青木 洋子
7
,
齋藤 昌利
1
KUMAGAI Natsumi
1
,
TOMITA Hasumi
1
,
HOSHIAI Tetsuro
2
,
IWAMA Noriyuki
1
,
TADAKAWA Mari
1
,
HAMADA Hirotaka
1
,
SAITO Shoko
1
,
AKIYAMA Shizuko
3
,
HANITA Takushi
3
,
OBARA Taku
4
,
TANIGAKI Shinji
5
,
KOSHO Tomoki
6
,
AOKI Yoko
7
,
SAITO Masatoshi
1
1東北大学病院産婦人科
2仙台市立病院産婦人科
3東北大学病院小児科
4東北大学病院薬剤部
5杏林大学医学部産科婦人科,総合周産期母子医療センター
6信州大学医学部遺伝医学教室,信州大学医学部附属病院遺伝子医療研究センター
7東北大学病院遺伝科
pp.1562-1565
発行日 2024年11月10日
Published Date 2024/11/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001795
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はじめに
Ehlers-Danlos症候群は,皮膚,関節,血管など全身的な結合組織の脆弱性に基づく遺伝性疾患である。その原因と症状から現在は13の病型に分類される。病型の一つである血管型Ehlers-Danlos症候群(vascular Ehlers-Danlos syndrome:vEDS)は主にⅢ型コラーゲン遺伝子(COL3A1)の病的バリアントが原因であり,常染色体顕性遺伝形式をとる。発症頻度は5万〜25万人に1人と稀で,EDSのなかでも最重症型であり,腸管・子宮・血管などの臓器破裂を起こし致死率が高い1)。また周産期リスクが高く,母体死亡率は約5%と報告されており,妊娠を許可できないとしている施設もある2〜6)。そのため,現在においてもvEDSの周産期管理については一定の見解がない2〜6)。また,わが国におけるvEDS合併妊娠の報告は限られている2,7,8)。
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