特集 周産期(産科)の手術の工夫―筆者はこうしている
常位胎盤早期剝離の帝王切開
田村 奈見
1
,
竹田 純
1
TAMURA Nami
1
,
TAKEDA Jun
1
1順天堂大学産婦人科
pp.1147-1151
発行日 2024年8月10日
Published Date 2024/8/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001689
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はじめに
常位胎盤早期剝離は母児ともに重篤な状態となりうる危機的な疾患の一つであり,全分娩の0.4~1.0%に発生するといわれている1)。母体における合併症としては,産科DICによる大量出血や大量輸液・輸血による心不全や肺水腫などがある。児における合併症としては,胎盤の剝離程度によるが,胎児死亡,脳性麻痺などがある。実際,常位胎盤早期剝離は産科危機的出血による母体死亡原因の10%(第3位)を占めており2),児の重症脳性麻痺にいたる単独の原因疾患としては23%(第1位)を占めている3)。よって児が生存している場合は,児を早期に娩出し,母体の出血コントロールを行うことがキーポイントとなる。
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