特集 「次」につなぐ「周産期医療」―次回妊娠への対策と次世代への影響を考える
エコチル・スタディからみえてくるもの 三世代の解析―環境省エコチル調査と東北大学東北メディカル・メガバンク計画三世代コホート調査に基づく展望
小原 拓
1,2
,
石黒 真美
1,2
,
野田 あおい
1,2
,
篠田 元気
1,2
,
大類 真嗣
1,2
,
栗山 進一
1,2,3
OBARA Taku
1,2
,
ISHIKURO Mami
1,2
,
NODA Aoi
1,2
,
SHINODA Genki
1,2
,
ORUI Masatsugu
1,2
,
KURIYAMA Shinichi
1,2,3
1東北大学東北メディカル・メガバンク機構予防医学・疫学部門
2東北大学大学院医学系研究科環境遺伝医学総合研究センター分子疫学分野
3東北大学災害科学国際研究所災害公衆衛生学分野
pp.498-503
発行日 2024年4月10日
Published Date 2024/4/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001522
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出生三世代ゲノムコホート解析のポテンシャル
出生コホート調査とは,生まれる前の胎児の段階から,子どもと家族の集団を一定期間にわたって追跡し,生まれる前から長期的,包括的,系統的に生活習慣などの環境・遺伝情報を集めて,それらと疾患の関係を解明するための調査である。例えば妊娠期の喫煙と生まれてくる子の低出生体重との関連がこれまでの研究で明らかとなっているが,喫煙している妊婦のなかでもより影響が出現する対象を正確に予測することができれば妊娠中のより強い生活習慣改善介入を行うことが可能となる。喫煙だけではなく,飲酒や栄養摂取の生活習慣についても同様である。妊娠期の情報に加え,本人と家族の遺伝的要因を統合的に解析することで,疾患などの予防に際し,その対象や類似の背景をもつグループを対象に,より最適な予防法を提供することが可能となる。
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