増刊号 周産期診療のための病態生理
[新生児編]
感染
パリビズマブはどのような機序で早産児のRSウイルス感染症の重症化を防ぐのか
川崎 幸彦
1,2
KAWASAKI Yukihiko
1,2
1福島県立医科大学地域医療支援センター
2福島県総合療育センター小児科
キーワード:
パリビズマブ
,
RSウイルス
,
早産児
,
ニルセビマブ
,
ベイフォータス
Keyword:
パリビズマブ
,
RSウイルス
,
早産児
,
ニルセビマブ
,
ベイフォータス
pp.471-474
発行日 2023年12月28日
Published Date 2023/12/28
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001345
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
RSウイルスの基本病態,早産児の免疫機構と感染症による重症化機序
1 RSウイルスの基本病態
RSウイルスは,エンベロープをもつRNAウイルスでありパラミクソウイルス科に属する。表在蛋白として,細胞への吸着作用をもち宿主細胞との接着に必要なlarge glycoprotein(G蛋白)と感染細胞の融合に関連しウイルスの細胞内侵入に必要なfusion protein(F蛋白)およびSH蛋白のエンベロープ蛋白がある。RSウイルスは,1956年,Morrisらによってチンパンジーの流行例から初めて分離されたウイルスで,1957年にChanockらがクループの患児から同様のウイルスを分離し,その細胞変性効果にsyncytium(合胞体)が特徴的にみられることから,respiratory syncytial virusと命名された1)。RSウイルス感染症は,周産期診療において最も重要で罹患頻度の高い疾患であり,早産児での罹患は重症化しやすい。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.