Japanese
English
連載 臨床医のための微生物学講座・Vol.24
RSウイルス
Respiratory syncytial virus
大宜見 力
1
Chikara OGIMI
1
1国立成育医療研究センター小児内科系専門診療部感染症科
キーワード:
RSウイルス
,
細気管支炎
,
パリビズマブ
,
喘鳴
,
接触感染
Keyword:
RSウイルス
,
細気管支炎
,
パリビズマブ
,
喘鳴
,
接触感染
pp.1135-1139
発行日 2024年9月28日
Published Date 2024/9/28
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290131135
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◎RSウイルスは,小児,特に乳児期の急性気道感染症の原因として最も重要な病原体である.初感染の際に急性細気管支炎としての病態をとり,入院加療を要することが多い.特異的な治療薬はなく,必要に応じて輸液や酸素投与などの対症療法を行う.細菌感染症を合併しないかぎり,抗菌薬投与は有効ではなく,抗菌薬の適正使用に努める.低出生体重児,免疫不全者,慢性の心肺疾患を有する患者では,特に重症化のリスクが高く,RSウイルスの流行期には,RSウイルスに対するモノクローナル抗体(パリビズマブ)が毎月予防投与される.以前は冬季に流行するウイルスであったが,ここ数年,日本では流行開始時期が徐々に早まり,最近は夏に流行することが多い.流行の開始時期は地域差も大きく,モノクローナル抗体の適切な開始時期の予測は困難である.半減期の長くなったRSウイルスに対するモノクローナル抗体や母体へのワクチンの有効性が示され,RSウイルス感染症に対する予防戦略が今後変わっていくとみられている.
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