特集 妊産婦死亡の現状と削減に向けた対策
各論
心肺虚脱型羊水塞栓症
小田 智昭
1,2,3
ODA Tomoaki
1,2,3
1浜松医科大学産婦人科
2Department of Pathology, Division of Transfusion Medicine & Coagulation, Texas Children’s Hospital, Houston, Texas, United States
3Department of Pathology & Immunology, Baylor College of Medicine, Houston, Texas, United States
pp.373-378
発行日 2023年3月10日
Published Date 2023/3/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000819
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はじめに
羊水塞栓症は,約2万~3万分娩に1例とまれだが,急激に呼吸循環動態が悪化し,妊産婦死亡につながる疾患の一つである。妊娠可能な全年齢層で,とくにリスクのなかった妊産婦にも発生しうる。しかし,確定診断方法はいまだ知られておらず,臨床症状と鑑別疾患の除外により診断する。呼吸循環不全,播種性血管内凝固症候群(DIC),子宮弛緩に対して同時に対応が必要であり,多職種スタッフを迅速に集めることが重要である。羊水塞栓症のリスク因子は,年齢35歳以上,多胎妊娠,分娩誘発,前置胎盤,器械分娩,帝王切開などが知られている1)。
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