特集 妊産婦死亡の現状と削減に向けた対策
各論
産科危機的出血 子宮型羊水塞栓症
西村 陽子
1
NISHIMURA Yoko
1
1聖マリアンナ医科大学産婦人科学
pp.369-372
発行日 2023年3月10日
Published Date 2023/3/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000818
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はじめに
羊水塞栓症は,羊水が母体血に流入し物理的塞栓を起こして発症すると考えられてきたが,近年,主な発生機序は羊水に対するアナフィラクトイド反応と考えられている1)。子宮型羊水塞栓症は,主に子宮を中心に発症したアナフィラクトイド反応で,補体系,キニンカリクレイン系の活性化が起こり,急激に子宮の急性炎症と血管透過性が亢進するもので,子宮収縮薬に反応しない重度の子宮弛緩症と急激な播種性血管内凝固症候群(DIC)を伴う。そのため,肺などにまで羊水成分の所見を認める心肺虚脱型羊水塞栓症だけでなく,子宮型羊水塞栓症も妊産婦死亡の原因として重要である。しかしながら,子宮型羊水塞栓症は産科危機的出血の症状に始まることから,速やかに適切な介入を行うことで救命しうる疾患である。
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