特集 妊産婦死亡をどう防ぐかⅠ
各論
6.羊水塞栓症
小田 智昭
1
,
田村 直顕
1
,
伊東 宏晃
1
,
金山 尚裕
2
T. Oda
1
,
N. Tamura
1
,
H. Itoh
1
,
N. Kanayama
2
1浜松医科大学医学部医学科産婦人科学講座
2同 大学医学部附属病院
pp.1439-1447
発行日 2019年11月1日
Published Date 2019/11/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000001088
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羊水塞栓症は,頻度は稀だが,急激に呼吸循環動態が悪化し,母体死亡につながる産科救急疾患の1つである。羊水や胎児成分が分娩時に母体循環に流入することが契機となり,母体にアナフィラクトイド反応が生じることで発症すると考えられている。健康な妊産婦が突然,全身状態が悪化し死亡に至ることもあるという側面から,医学的にも社会的にも迅速で適切な診断および治療が重要である。浜松医科大学産婦人科は日本産婦人科医会の委託を受けて,2003年より「羊水塞栓症血清補助診断事業」を行っている。当教室での血液・組織検体の解析結果があれば,妊産婦死亡症例検討評価委員会での死亡原因の検討に利用される。治療では呼吸循環不全,血液凝固障害,弛緩出血への対応が必要であり,人手を集め迅速に対処することが重要である。
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