外科医に必要な産婦人科common diseaseの知識・12
羊水塞栓症
千葉 亜有美
1
Ayumi CHIBA
1
1東北大学医学部産婦人科
pp.662-663
発行日 1999年5月20日
Published Date 1999/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903620
- 有料閲覧
- 文献概要
はじめに
羊水塞栓症(amniotic fluid embolism)は妊娠特有の合併症であり,分娩前または分娩直後に突然発症して短時間で心肺停止に至るため,母児ともにきわめて予後不良である.2〜3万分娩に1例と稀な疾患ではあるが,母体死亡率が60%1)と高いため,妊産婦死亡率が大きく改善された現在,産科領域において無視できない存在となっている.本来産科合併症である羊水塞栓症に対して外科医が関わる状況を想定すると,おそらく発症直後の心肺蘇生およびその後の全身集中管理などに関わる場合だろう.本稿の目的は羊水塞栓症の病態,臨床症状,および適切な管理方法について解説し,不幸な母体死亡を1例でも少なくすることにある.
Copyright © 1999, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.