特集 妊産婦死亡の現状と削減に向けた対策
総論
産科危機的出血時の初期対応
櫻井 淳
1
SAKURAI Atsushi
1
1日本大学医学部救急医学系救急集中治療医学分野
pp.308-313
発行日 2023年3月10日
Published Date 2023/3/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000807
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はじめに
産科異常出血とは,妊娠中から分娩後に発生した異常出血の総称で,分娩前,分娩時,分娩後に分類される。産科異常出血は急速に全身状態の悪化をきたしやすく,また産科DIC(播種性血管内凝固症候群)を併発しやすい特徴があり止血が困難となるため,高次施設や他科と連携をとりながらの特別な対処を要する。わが国では母体安全のために,生命の危機が考えられる産科異常出血に対し産科危機的出血と定義し,6学会合同で作成したフローチャートとして対応を含めてわかりやすく示している。2022年1月に「産科危機的出血への対応指針2022」として改訂版が新たに発出された(図1)1)。
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